読書ノート

札幌在住の26歳。読書が好きで読書感想ブログをちまちま書いています。特に推理小説が好きですが、どんなジャンルの本でも読むように心がけています。おすすめの本は通年募集中です。

新しいKindle Paperwhite、買わない理由がありませんでした。

Amazon電子書籍リーダー、新しいKindle Paperwhiteを買いました!

 

悲しくも、新しいiPad Proと同じ発売日で、界隈ではその話題で持ちきりでしたが、裏でひっそりと盛り上がっているのがこの新しいKindle Paperwhiteです。

 

 

 

予約注文してようやっと届きましたので、うれしくなって早速ブログを書いています。

 

こちらがパッケージ。パッケージからコンパクトです。G-SHOCKや薄い財布とならべても遜色のない小ささ。軽くて本当に中身が入っているのか不安になります。

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横からみるとこんな感じ。iPad Pro顔負けの薄い包装です。

なんだかAmazonが薄い青を使うと違和感を感じてしまうのは僕だけでしょうか。Kindleのイメージカラーなので、当たり前っちゃ当たり前なのですが、Amazonといえばどうしても黒とオレンジの印象になってしまいます。

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早速開封

左が新しいKindle Paperwhiteで右が昔のKindle Paperwhiteです。(以下同じ)

電源オフ時の写真たて感は今回も継続です。

kindleのロゴが見やすく、そして艶やかになりました。

わかりにくいですが、右側はかなり指の脂がついてしまっていますが、新作は表面がかなり滑らかになっていて汚れがつきにくくなっています。

といっても、今回から防水(IPX8)になったので、画面を洗うことも可能です。

IPX8は真水に60分間浸かっても、本体に影響がでない防水性能です。

 

画面サイズに変更はありません。

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横からみるとこんな感じ。

わかりにくいですが、縦幅は数mmぐらい小さくなっています。

ちなみに公式では厚みも変わっているとのことですが、言われてみれば確かに1mmぐらい薄くなっているような気もしないでもありません。笑

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画面と枠の間にあったわずかな段差は、新しいKindle Paperwhiteではなくなりフラットになっています。これも防水対応の一つですね。

一方で、傷つきやすくなるのではという懸念も。公式で画面保護シートも販売していますが、見づらくなると嫌ですし、ケースもせっかくの携帯性を無駄にしてしまうので、しばらくはこのまま使ってみることにします。あまりにも傷がついたりするようであれば保護シートを買うことも検討する必要がありそうです。

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さて、画面の方に行きますが、2台とも最大光量にしてみました。

あれ、古い方が明るく見えない?とおもったのですが、大事なのは明るいことでなく、目に優しいこと。

新しい方が、より文庫本の質感に近いオフホワイトのような色に近づいています。

ライトも1つ増えてより明るさが均等になったそうです。
(前のも不均等に感じたことはありませんでしたが。)

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実際の画面はこんな感じです。

行間は新しい方は普通、古い方が狭いにしているので異なっていますが、表示サイズや行間、余白等は前の機種と設定に変更はありません。

やはり前のものよりも、ブルーやホワイトのライトを軽減して、より目に優しく長時間読めるようにできています。

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暗いところでも同様に、目に優しく光ります。

ちなみに、日光や影などによる画面のうつりこみもありません。

屋外でも夜中でも気軽に使えるところがいいですよね。

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容量も4GBから8GB(もしくは32GB)に増えました。

僕は8GBを購入しました。

とはいっても8GBはシステムファイル等も含めた容量で、実容量は3GBから6.3GBへと増加したようです。

前のやつはデフラグ?していないのですが、2倍近く容量が増えているので、容量に困ることはなさそうです。

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あとは以下の機能が変更されています。

・3G回線から4G回線接続へとアップデート(Wifi + 無料4Gモデルのみ)

・漫画の見開き1ページ画像が横向きで表示されるように

 

 

 

まとめれば、前のモデルよりコンパクトになって、前のモデルより画面が見やすくなって、前のモデルより画面タッチが滑らかになって、前のモデルより容量が増加して、前のモデルより回線が早くなって、前のモデルと違って防水性能がつきました。そして、前のモデルと同じぐらいの価格です。

 

つまり、最高にアップグレードしたということです!電子書籍としての過不足ない機能がさらに使いやすくなっています。これはもはや買わない理由がありません。

 

変にAlexaに対応したり、カラーになったりしなくって良かった・・・。笑

「Alexa、ページめくって!」なんて言ってたら、読書体験も興ざめですから。

 

ちなみに買うなら、容量に合わせて8GBか32GBの広告なしのWifiのみモデルがおすすめです。無料Wifiも増えてきているので、どうしてもっていう方以外はWifiのみで十分かなぁとおもいます。

 

 

ちなみにこの記事は、東京創元社のマスコットくらりのTシャツを着ながら執筆しました。クラウドファンディングのお返しにいただきました。

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おわり。

 

札幌を闊歩する青春群像ミステリを堪能せよ ーー川澄浩平「探偵は教室にいない」

 

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11月に入りますます寒さの増す北海道。峠にも雪が積もり始めていよいよ冬到来でしょうか。

 

今回は鮎川哲也賞受賞の川澄浩平「探偵は教室にいない」を読みました。

 

 

探偵は教室にいない

探偵は教室にいない

 

謎と出会い、わたしたちはすこしだけ大人になる。
第28回鮎川哲也賞受賞作


わたし、海砂真史には、ちょっと変わった幼馴染みがいる。幼稚園の頃から妙に大人びていて頭の切れる子供だった彼とは、別々の小学校に入って以来、長いこと会っていなかった。変わった子だと思っていたけど、中学生になってからは、どういう理由からか学校にもあまり行っていないらしい。しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼――鳥飼歩は、九年ぶりに再会を果たす。日々のなかで出会うささやかな謎を通して、少年少女が新たな扉を開く瞬間を切り取った四つの物語。青春ミステリの新たな書き手の登場に、選考委員が満場一致で推した第28回鮎川哲也賞受賞作。
第28回鮎川哲也賞選考経過、選評=加納朋子 北村薫 辻真先

 

 

川澄さんは北海道出身・在住ということもあり、この作品は北海道(というか札幌)を舞台とした連作短編ミステリ感がバチバチ出ています。

 

北海道×連作短編集。

 

あれ、それいつか僕が書きたいと思ってたテーマなんですが!加納朋子さんの「ななつのこ」がとても大好きで、そういう雰囲気を生まれ育った北海道で表現したいと思っていたのに...。と書く気持ちもないのですが、なんとなく悔しくなってしまいました笑

しっかし、「円山公園」とか「宮の森」とか「発寒」とか知っている地名が出てくるだけで、ドキドキするこの気持ちはなんなんでしょうね。笑

 

 

 

 

いわゆる「日常の謎」を解明する中学生の青春ミステリなのですが、ミステリ界でのよくあるジュブナイルものをバランスよく書かれているところがとても良かったです。選評でも書かれていましたが、一歩間違えれば、物足りなくかつありきたりになりかねない、その絶妙なところを、実在する町や路線を使ってうまく昇華させ、かつ王道の読後感を味わせてもらえる、ありがたさを感じました。ミステリなのに殺伐としてない!笑

 

 

 

蛇足ですが、応募時の作品名は「学校に行かない探偵」だったみたいで。こっちの方が個人的には好きなかんじがします。 

 

 

 

ジェリーフィッシュは凍らない」「屍人荘の殺人」とはテイストの異なる今年の鮎川哲也賞ですが、さすがは受賞作、審査員の折り紙つきですので、ぜひご一読を!

 

 

 

これは単なる少年少女の冒険活劇ではない ーー 岡崎琢磨「夏を取り戻す」

 

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夏を取り戻す (ミステリ・フロンティア)

夏を取り戻す (ミステリ・フロンティア)

 

これは、もうすぐ21世紀がやってくる、というころに起きた、愛すべき子どもたちの闘いの物語です。――不可能状況から煙のように消え去ってみせる子どもたちと、そのトリックの解明に挑む大人の知恵比べ。単なる家出と思われた子どもたちの連続失踪事件は、次第に地域全体を巻き込む大事件となっていった! いま最も将来を嘱望される俊英が新境地を切り拓く、渾身の傑作長編。ミステリ・フロンティア100冊刊行記念特別書き下ろし、遂に刊行!

 

東京創元社の新進気鋭作家を押し出すレーベル、ミステリ・フロンティアの記念すべき100冊目の作品、というかもう100冊なんですね。早い。ミステリ・フロンティアの作品も結構読んでます。「アヒルと鴨のコインロッカー」「夢見る黄金地球儀」「折れた竜骨」「Y駅発夜行バス」「サーチライトと誘蛾灯」など、面白いミステリ作品がわんさかあります。

 

そのレーベルの100冊目の節目として岡崎さんが指名されたそうで。いやー、相当なプレッシャーだったんじゃないでしょうか、自分だったら断ってしまいそうです。それで上梓されたのが「夏を取り戻す」という作品です。簡潔でいいタイトルですよね、夏を取り戻す。失った夏を取り戻すでも、過ぎ去った夏を取り戻すでもなくて、夏を取り戻す。

 

「夏を取り戻す」はその100冊目にふさわしく、とてもうまくまとまっている作品だと思いました。 作品紹介に書いてるように、児童連続失踪事件の正体は、子供達によるトリックな訳なのですが、このトリックが等身大のトリックであるという点がとてもおもしろいです。現実問題として、こんなトリックを子供達が思いつくわけがない、と思う一方で、もしかしたらいまの子供たちなら思いつくのかもしれないと思わせる絶妙なレベル感のトリック、そしてそのトリックの瓦解の仕方がいかにも子供らしくてクスッとします。

 

そして子供達の思惑とそれぞれの思惑が、物語をより深みのあるものに変えているような気がしました。物語の展開はオーソドックスで予測がつくいっぽう、小手先のトリックだけの物語ではない、芯のある物語が書かれている、そんな作品でした。

 

単なるジュブナイルものでもなく、記者ものでもなく、いうなれば地域ミステリ、というのは、今までありそうでなかったような気がしますね。とっても面白かったです。

WW2後のドイツを追体験する ーー深緑野分「ベルリンは晴れているか」

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ベルリンは晴れているか (単行本)

ベルリンは晴れているか (単行本)

 

 

戦争が終わった。
瓦礫の街で彼女の目に映る空は何色か
ヒトラー亡き後、焦土と化したベルリンでひとりの男が死んだ
孤独な少女の旅路の果てに明かされる真実とは

1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。


深緑野分さんは「オーブランの少女」でミステリーズ!新人賞佳作に選ばれたのち、「戦場のコックたち」で直木賞候補・本屋大賞候補となった作家だ。

2010年にミステリーズ!に初出していこう8年間で4作と作品数は多くないが、丁寧な下調べと臨場感あふれる筆致で書かれた作品は、まるで海外作家の翻訳を読んでいるような、心地よい錯覚に陥らせてくれる、日本では珍しい小説家だと思う。

前作「分かれ道ノストラダムス」は、正直言えば、深緑さんの良さが失われた、お世辞にも、あまり良い作品とは思えなかっただけに、今作は、タイトルから「これは楽しみ!」と期待していた。なぜならタイトルが「ベルリンは晴れているか」だったから。どう考えても、第二次世界大戦をテーマにしているのは一目瞭然だった。

 


僕は高校の受験科目で世界史を選択していなかったため、読む前にまずは第二次世界大戦前後のドイツを中心とした諸外国の状況を頭に整理することにした。

まずドイツの対内的関係では、ヒトラー総裁率いるナチス=ドイツが、ドイツの共産主義者や無所属者、ユダヤ人、障害者や同性愛者などを排斥するナチズム(=民族主義)の考えのもと、大量殺戮(ホロコースト)を行なっていた。ユダヤ人を労働力確保と騙して殺害していったアウシュヴィッツ強制収容所がその代表である。なお、強制収容所での悲惨さを綴った書籍として「夜と霧」や「アウシュヴィッツの図書係」を紹介する。

 

夜と霧 新版

夜と霧 新版

 

 

アウシュヴィッツの図書係 (集英社文芸単行本)

アウシュヴィッツの図書係 (集英社文芸単行本)

 

 

一方対外的関係では、ドイツはポーランドに侵攻し征服する。その後西ヨーロッパ諸国を侵攻し、フランスまで領土を拡大する。ここまでの戦局はドイツが優位に進んだが、アメリカの後ろ盾があるイギリスに遁走、標的をソ連へと変更するも返り討ちにあい、無条件降伏をすることとなった。その後、ヒトラーが自害したドイツは、「ベルリン宣言」によりアメリカ・イギリス・フランス・ソ連の4カ国による統治がなされ、1949年にはドイツが東西に分裂する。この分裂は1990年のベルリンの壁の崩壊に始まったドイツ再統一まで続くこととなる。

というのが、第二次世界大戦前後のドイツ、ひいてはベルリンの状況である。

 

さて、「ベルリンは晴れているか」は、第二次世界大戦終了後、諸外国の統治下にあったベルリンの、アメリカ軍の兵員食堂で働くドイツ人(アーリア人)の少女アウグステ・ニッケルが主人公となり、一人の死の真相を追い求めるミステリ小説である。

アウグステは、歯磨き粉で毒殺された恩師クリストフ・ローレンツの死を甥エーリヒ・フォルストに伝えるために、NKVDというソ連の内部人民委員部の後ろ盾のもと旅をすることになる。
道中、ユダヤ人俳優のファイビッシュカフカ、4分の1ユダヤ人として断種されたヴァルター、男色家ゆえに迫害されたハンスとともにさまざまな事件に巻き込まれるが、ユダヤ人・ドイツ共産主義者、残ナチス、イギリス軍、ソ連赤軍アメリカ軍との関わり合いの中で、アウグステは成長していく。

 


物語は、アウグステの過去を綴った幕間(インタールード)を挟みながら綴られていく。本筋もインタールードも、当時の記憶を追体験するような、まるで当時を体験してきたかのような克明な筆致に感服する。そして500ページ弱ある物語にどんどん夢中にさせられる。
ただ、読者は、なぜアウグステはそこまでエーリヒに会うことに固執するのか、なぜカフカは逃げ出さないのか、なぜNKVDは自らエーリヒを招集しないのか、について悶々としながら読み進めていくことにもなる。

そして物語は最終局面を迎えた後、自供、追想、そしてエピローグへと続いていく。戦争が終わったとはいえ、長い氷河期のような時代、ハッピーエンドになったとは言えないが、生きているだけでマシと言える形で物語は幕を閉じる。

 


しかし、細かな歴史的表現と演出、登場人物の来歴に基づくセリフや機微など、歴史小説として圧倒的だった分、ミステリ小説としては、「奇妙な味」とは言えないすっきりしなさが残った作品となった。もちろん作者として、あえて書かないという選択をしたのかもしれないが、肝心の殺人事件の根幹は読者が類推するしかないように感じた。

例えば以下のことが疑問として残った(すこしぼかした記載に)

  • 彼女は足が不自由であったのに、ヴァルターとハンスはなぜ彼女から今まで逃げる機会がなかったのか
    →単なる地理的要因?
  • クリストフはなぜ殺される原因となったことをしていたのか
    →これがわからない
  • クリストフはなぜ歯を磨いたのか
    →珍しく寝坊して朝の日課をサボった、という記載から想像できる
  • アウグステはなぜエーリヒの名がなくともNKVDに好意的な扱いを受けていたのか
    →これもわからない
  • クリストフの妻とアウグステの関係性
    →これも実際のところはよくわからない
  • 1945年当時の技術で、白骨からヒ素化合物を検出することができるのか、またそのような手間をかけるのだろうか
    →まぁ、きっとなにかあったんでしょう。と有耶無耶にされそうな気がしないでもなのだけれど、死因を特定する意志や技術はあったんだろうか


そんなところで、歴史的表現が超一流な分、ミステリの部分が気になってしまったという細かいお話でした。でも物語はとても面白い。


ちなみに、第二次世界大戦終了後、ユダヤ人の迫害を悔やみ、ユダヤ人への対応は、人一倍気を使っているのだそうだけれど、一方で未だに「反ユダヤ主義」的な過激思想を持った人々がいるということも忘れてはいけない。この物語は過去の物語ではなく、今も続く物語なのである。

www.nhk.or.jp

 

深緑さんが寄稿する「たべるのがおそいVol.6」も楽しみだ。

 

 

文学ムック たべるのがおそい vol.6

文学ムック たべるのがおそい vol.6

 

 

 

読書好きの読書好きによる読書好きのための本 ーー「本の虫の本」(創元社)

いきなりだけれど、僕は本を読むことが好きだ。読書が好きだ。対外的に見ても、たくさんの本を読んでいる部類だと思う。世の中には全く本を読まない人達がいる一方、上を見れば、この人は本を食べて生きているのではないかと思えるぐらい、山積みの本の中で生活している人たちもいる。ウンベルト・エーコは本宅と別荘合わせて5万冊の蔵書をもっていたというし、井上ひさしは一日30冊読んでいたというし、立花隆は本のためのビルを所有しているという。

 

電子書籍が広まって以降、一読しかしないであろう本や長編シリーズもの、漫画・雑誌などは積極的に電子媒体で購入を行ってきたが、それでも電子化100%とはいかず、専門書や古い小説やお気に入りの本などは紙媒体で保管しておきたくなる。

 

保管のしかたも人それぞれだ。僕はくたっとした本が好きだから、帯や栞をなくしても愛着が湧くし、たくさんのドッグイヤーもぼさぼさになったスピン、開き癖、ヤケ、それも生活の証だとポジティブにとらえられる。一方で、スリーブをつけ、日の当たらず風通しのよい本棚に保管をし、読むときには完全に開き切らないようにする、それぐらい本を丁寧に扱う人もいる。

 

たくさんの本を収集している人、読んでいる人、本にこだわりがある人、装丁が好きな人…、そんな本に魅せられた人たちを「本の虫」と呼ぶ。英語でもBookwormというのだから、本の虫は世界標準だ。

 

そんな本の虫のための本こそ「本の虫の本」(創元社)である。

本の虫の本

本の虫の本

 

本に埋もれて、生きる。

本とともに暮らし、本を血肉として生きてきた真性の「本の虫」5人衆がここに集結!
ジャーナリズム、古本屋、新刊書店、装幀など、それぞれが活躍する領域で、
本の世界にまつわるキーワードを並べ、自由気ままに解説する。
本好きの心をくすぐるウンチク満載、
次に読みたい本を見つけるブックガイドにもおすすめ。
すべての本好きに贈りたい、本の世界を縦横無尽に楽しむための案内書。

 

先日(といってもかなり前の話になってしまった)神保町に遊びに行ったとき東京堂書店で偶然目にして、タイトルを見て一目ぼれしてしまった。(後々その日が発売日だったということがわかった!)創元社はSFやミステリで有名な東京創元社ののれん分け前の母体となった出版社で、それも創元推理文庫が大好きな僕が手に取ることになったきっかけの一つである。

 

この本は、ひたすら本にまつわる言葉や思い出などを、5匹の本の虫がひたすらに書き連ねているだけの本であるが、それゆえに本に対する思いが溢れんばかりに詰まっている。

 

「全部読んだんですか?」では、「本をたくさん持っている人に決してしてはいけない質問です。」から文章が始まる。
読書好きな人にとっては、積ん読は読書の一部だ。だから全部読んだかなんて質問は、野暮であり、禁句なのだ。そして中には面白くない本も、到底最後のページまで読めない苦痛な本もあるわけであり、「全部読んだか?」と聞かれれば、「あの本は途中で読むのをやめたから、全部読んだとは言えない。」と屈辱的な返答をするしか無くなってしまう。だから、決してしてはいけない質問なのである。

 

細かいことは言わない。

下記の目次の中で、一つでも気になった項目があればそれはこの本を読むべきであるし、きっとあなたは本の虫なのである。

 

▼第一章 ハヤシウンチククサイムシ
犬耳する/自転車操業/全部読んだんですか?/つんどく/小脇にはさむ/作家/
女は女である/受贈本/ビブリオマンシー/四百字詰原稿用紙/本を食べる/SM/
100冊/フィロビブロン/たのしみは/読書会/エブリマン/たった一度の広告/
本の木/空飛ぶ本/ゆっくり読む/青木まり子現象/本棚崩壊/ゲタとイキ/
たいせつなことは目に見えない/本は泣いているか/√2矩形/
古本はチョコレートの匂い/新刊はゆまりの匂い…など

▼第二章 ノムラユニークホンヤムシ
靴跡/うろ覚え/カバーおかけしますか/みつからない/倉庫さらえ/埃/
本屋と子ども/本を贈る/猫を抱いて本屋になる/客注台帳/この本、ありますか/
檸檬/装丁で並べる/不良な本/夢に見た本/検索/スリップ/本屋で本は読めるか/
本を包む/フリーペーパー/オンラインショップ/本屋泣かせの本/面陳/棚出し/
座り読み/ZINE/本屋で一人きり/ちょっとした偶然/小さな出版社/本屋と喫茶

▼第三章 オギハラフルホングラシムシ
はしご健康法/古書の壁/背表紙と匂い/本の山/せどり今昔物語/電子書籍/
活字中毒の漫画家/帯と函/ネット古書店/作家の不遇時代/本の友/掘り出し物/
修練/倦怠感/ミステリー料理事典/蒐集癖/小さな町にて/理想の住まい/整頓/
イン&アウト/編集者/ききめ/ツブシ/雨の日/ジンクス/マタイ効果/別名/
再読率/書物の敵

▼第四章 タナカコケカメムシブンコ
インターネット/倉庫問題/店番危機/古本屋の中の新刊書/汚れ落とし/
消しゴムと線引き/本屋の匂い/紙袋の判子おし/紙魚/組合未加入/店猫/看板猫/
品揃え/自著/記憶の底の古本屋/郷土作家/値札/買取り/変な配置/
本ではないもの/本と水/腰痛/蟲の字

▼第五章 オカザキフルホンコゾウムシ
本とつきあう法/講談社文芸文庫/ご当地小説/ティッシュボックスの空き箱/
索引および人物紹介/本の虫の大敵/本のページを開く日/トイレ本/
半世紀前の未来とは?/野球場内にあった古本屋街/アクセサリーとしてのポケミス/
本の運命/ライト・ヴァース/漫画が教えてくれた/児童書だってバカにできない/
本の夢/単行本/編集者/白い本、黒い本/点と線/「本の虫」名言集/本の埃/
同じ本を何冊も買う/自装本/読書の守護神/豪華本・限定本/日めくり本/
スクラップブック/古い観光ガイド/おすすめの本