読書ノート

札幌在住の26歳。読書が好きで読書感想ブログをちまちま書いています。特に推理小説が好きですが、どんなジャンルの本でも読むように心がけています。おすすめの本は通年募集中です。

【私的メモ】インテリア雑貨のオンラインストアまとめ

北海道に住んでいると、札幌とはいってもなかなか良い雑貨屋が少なく感じる。
むしろ地方に行くと、道産木材を利用したオリジナルプロダクトはかなりある。

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これは、北海道上川郡東川町、大雪山のおひざ元にあるカフェ、ノマド。アウトドア用品と道産家具が相まって、素敵なインテリアになっている。

 

羨ましい…。


東京に行けば、色々な雑貨屋を直接見て回れるのだけれども、移動代の方が高くつく。
だからオンラインショップに頼るしかない、となってしまう。

オンラインショップは店頭に比べると載っているものも少ないけれど、そこはご愛敬。限定された中から、良いものを頑張って探すしかない。

ということで、雑貨インテリア系オンラインショップを私的まとめ。

 

 

セレクトショップ

 

THE CONRAN SHOP

ザ・コンランショップは、テレンス・コンランの確かな目によって世界中から厳選された多くのアイテムに加えて、 コンラン自身がデザインにこだわり手掛けたオリジナルアイテムもラインナップ。より充実したホームファニシングの世界を創造しています。

現在ショップは、ロンドン(3店舗)、パリ、東京(3店舗)、京都、名古屋、福岡、の6都市10店舗で展開しています。

www.conranshop.jp

 

・The Tastemakers & Co.

 2011年に設立、青山と恵比寿に店舗を持つ、「私たちが本当にいいと考えるモノ」を発信して、あなたの心の感覚の"taste"を刺激します。thetastemakersandco.com

 

・P.F.S. (Pacific Furniture Service)

 「考え(DESIGN)」「作り(FACTORY)」「売る(SALES)」
という3つのセクションを自ら持ち、連携させることで、独自の価値観を提供しています。
自分たちが求めるモノがなければ、それを作るための工場をつくり、
自分たちが求めるモノを見つけたら、それを売るための店をつくり、
自分たちが心地よく感じられる場所がなければ、空間をつくり…
自分たちが、自分たちらしく居られる環境を、一つ一つ築いていった結果、現在のP.F.S.というカタチが出来上がっています。

パーツセンター、店舗ともに恵比寿にあります。

www.pfsonline.jp

 

・SUU

 札幌のインテリア雑貨系のセレクトショップ。ここなら家からでも通えます。笑

suu.life

 

 

古い建物をリノベーションして生まれた、東京・目黒のデザインホテルCLASKA。その中のショップとして、CLASKA Gallery & Shop "DO"(クラスカ ギャラリー&ショップ ドー)は始まりました。伝統の手仕事でつくられる工芸品から、デザイナーによる新しいプロダクトまで。今の日本の暮らしに映えるアイテムを、洋の東西を問わず新しい視点で集めたライフスタイルショップです。またギャラリースペースを併設し、企画展も随時行なっています。www.claskashop.com

 

  

・Playmountain

 ランドスケーププロダクツが2000年にオープンさせたショップ「プレイマウンテン」。そこ並ぶオリジナル家具は、いずれもシンプルさを基調にしたモダンなデザインだが、単に機能的で合理的なだけでなく、人の心をときめかす何かを備えている。 プレイマウンテンはオリジナル家具以外にも、ミッドセンチュリーのモダンファニチャーや1点物の装飾的なオブジェ、現代のデザイナーによるプロダクツや工芸品など、インテリアに関連したさまざまなアイテムを取り扱う。ランドスケーププロダクツの家具には、そのどんなアイテムと合わせてもしっくりとなじむ自由さがある。ちゃんとしたスタイルを持ちながらも、まわりにスタイルを押しつけてしまうことがない。家具のデザインと並行して手がけているインテリアデザインや建築にも、同様のセンスが生きている。ただしそこに一目でランドスケープだと分かるような個性が表現されるとは限らない。あえていうならシャープさとカジュアルさのバランスが巧みな点、使いやすさ重視の機能的な空間に木目など自然の要素を取り入れる点が特徴だろう。しかしより明確なのは外観や素材の特徴よりも、誰にも身構えさせることのない空気感だ。たとえば2004年から始めたカフェ「Tas Yard」は、まさにそんな雰囲気。だからすぐに地元に根付き、幅広い年齢層の人々が気軽に訪れる場所になった。過去から現在にかけての優れたデザインやアート、そしてその作り手となった人々の人間性に触れることで、ランドスケーププロダクツらしさが育まれてきたことは明らかだ。企画から深くかかわった「イームズ・デザイン」展(2000年)と「民藝とランドスケーププロダクツの出会い」展(2003年)という大規模な展覧会。ブラウン、ポール・ランドジョージ・ネルソンなどをテーマにプレイマウンテン店内でたびたび開催したエキシビション。またオフィスにストックしてある大量の書籍や資料。そこからメンバーひとりひとりが吸収したものを、現代にフィットするように結晶化できるのがランドスケーププロダクツだと思う。そうして生み出されるものは、デザインというレベルを超えて、世界各地の感性を共有する人々を巻き込みながら、ひとつのスタイルや価値観へと広がりはじめている。

playmountain-tokyo.com

 

・LIVING MOTIF (リビング・モティーフ)

 古いものにも、新しいものにも、本物はあります。
有名・無名、価格にかかわらず、本物はあります。

LIVING MOTIF は、30年以上にわたって、デザインの本物を見分ける目を養い、 選び抜いたものをご紹介するよう努めてきました

shop.livingmotif.com

 

・北欧、暮らしの道具店

当店は北欧のライフスタイルに魅せられたことをきっかけに2007年9月にオープンしたネットショップです。

私たちにお店を始めるきっかけを与えてくれた北欧発のプロダクトを中心とし、 日本のもの、その他さまざまな国の暮らしの道具たちも取り扱っております。

hokuohkurashi.com

 

・free design

 free Design(フリーデザイン)は 「Quality Living(クオリティ リビング)」をコンセプトに、 北欧、西欧、アメリカから日本まで、世界各国から"使いやすさ"と"デザイン"にこだわった、 上質な生活雑貨やテーブルウェアをセレクトするショップです。

www.freedesign.jp

 

・THE TASTE

 「DAILY TOOLS FOR THE HOME & OUTDOORS」がコンセプト。日々の生活に欠かせない家庭用品、テーブルウェア、キッチンツール、ガーデニング用品、アウトドアグッズを中心に、歴史に裏打ちされた生活道具を世界中からセレクトしています。生産国やブランドを問わず、機能性とデザインに優れ、頑丈で丈夫で、長く使うことができる道具、一生モノとして愛用できるプロダクトを提案していきます。

www.the-taste.jp

 

・中川政七商店(THE 含む)

 三百年の歴史を持つ老舗ならではの温故知新の想いを根底に、品質やこだわりを大切にし、家・生活に根ざした機能的で美しい「暮らしの道具」の数々を取り揃えております。 道具として単に実用的というだけでなく、使っていて気持ちが良いこと、使い続けることで愛着あるものに育つということも大切にしています。

(THE について)

過去を知り、現在を考え、未来を創る。たとえば、THE JEANSといえばLevi’s501。しかしこの世界には未だ「THE」と呼べるものが明確に存在しないアイテムも数多く残されています。世の中の定番を新たに生み出し、これからの「THE」をつくっていくこと。本当に「THE」と呼べるモノを、生み出していくこと。わたしたちは、そんなモノづくりを目指していきます。「THE」は、トータルディレクションをgood design company代表の水野学が務め、プロジェクトマネージメントを弊社代表の中川淳が担当、プロダクトデザインをPRODUCT DESIGN CENTER代表の鈴木啓太が担当し、それぞれのジャンルの製品をつくることを最も得意としているメーカーと共に、これからの世の中のスタンダードとして存在する製品とはどうあるべきかを研究開発し、発信していくブランドです。

www.nakagawa-masashichi.jp

 

・FLYMEe(フライミー)

ZOZOTOWNの家具屋的立ち位置。実店舗はなし。

FLYMEe(フライミー)ではデザイナーズ家具、インテリア家具、雑貨をすべて正規品のみでお取扱いしています。一人暮らしの部屋ももっとおしゃれに。一般的な激安家具通販とは異なる、おすすめのブランド家具や北欧家具も購入できるデザイナーズ家具・インテリアの通販サイトです。

flymee.jp

 

 

■オリジナルブランド系(や気になっているもの)

 

・PUEBCO (プエブコ)

インテリア雑貨を中心に、インダストリアルで無機質な製品を安く提供している。

www.puebco.com

 

 

ACME FURNITURE

 創業30年の歴史の中で培われた技術と経験により開発された オリジナルプロダクトには、アメリカン・ヴィンテージから得たインスピレーションをベースに、 作り手の思いとこだわりを丁寧に抽出、表現しています。

バイヤーによってアメリカ各地から集められた1940~70年代のヴィンテージ家具や雑貨は日本国内に渡った後、熟練した専門職人による忠実なメンテナンスにより息を吹き返します。ACME Furniture(アクメ ファニチャー)はオリジナルとヴィンテージ、 双方の個性と魅力をミックスさせた独自の世界観を提案します。

baycrews.jp

 

無印良品

 いわずもがなな無印良品

www.muji.net

 

・COWBOOKS

 東京の中目黒にある書店、COW BOOKSのweb storeです。

cowbooks.stores.jp

 

・Bibliophilic

「BIBLIOPHILIC」は、「本のある生活」を楽しむためのブランドです。本好きの皆様のために、本と人との間でそれぞれの役割を果たす、すべての「道具」を取り扱います。

三冊の本の上に、猫が乗っているロゴマークが目印。愛書家の邸宅、図書館の庭、古本屋の店先――不思議なことに、本のある風景の中には、よく猫がいます。「BIBLIOPHILIC」の猫のマークには、あなたの机の上や本棚の隅で、静かに長く愛されるブランドでありたいという意味がこめられています。

diskunion.net

 

・HITOHARI

 「もったいないもの」を「もちたい」ものに。「使えないもの」を「使える」ものに。
福田昌彦が2006年に北海道は富良野でスタートさせたハンドメイド・クラフトブランド。それがHITOHARI(一針)です。

世の中で、見過ごされているカケラたち。それは、たとえばデニムのスソ。新品であるにも関わらず、余分だから、という理由で切り離され、捨てられていたものたち。そのカケラを集めて、作りあげたバッグ。本来、捨てられるべきものに、新たな命を吹き込み、あなたの生活を彩っていく。そのためのアイディアを、技術を、一針は大切にしています。

ただ「エコ」ということでもなく、ファッション性だけを追求するでもなく。あくまで「日常を、あなたとともに過ごす道具」という視点に立ち、使い心地、機能性には、特にこだわります。すべてハンドメイドで作り上げられる製品は、素材がバラバラ。
だから、世界にひとつしかない1点ものになる。さらに、それがあなたの手に渡り、使い込まれていくにつれて、替わりのきかない存在になっていけば。そんな想いを一針一針に込めて、日々、製品を生み出しています。

2014年より帆布生地を使用した製品をラインナップに追加。カラーバリエーション・サイズ・用途の幅を格段に広げました。より多くの人々の暮らしの中で、より様々なシーンで、使い手に寄り添う作品づくりを目指します。

HITOHARI

 

【読書記録】2017年10月の読書数は25冊でした。

2017年も残すところあと2ヶ月、早いものです。

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今月のカバー写真。洋菓子よりも和菓子が好きです。

 

肩こりに悩まされ始めると、寒くなったなぁと感じます。

今年も冬の間はスポーツジムに通おうかな。

 

今月の読書数は25冊です。番号入れ忘れました。

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今月はかなり豊作だったので、たくさん読書メモを書くことができました。割合としては推理小説が多いですね。前月より進捗がストップしている浅田次郎さんの「中原の虹」に続き、トルストイの「アンナ・カレーニナ」も2巻の途中でストップしています。面目無い。

そのかわり(?)今月から江戸川乱歩編の「世界短編傑作集」や太田紫織さんの「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」シリーズを読み進めています。

 

今月のオススメは

 

カズオ・イシグロさんの「日の名残り」「わたしを離さないで」

masahirom0504.hatenablog.com

 

米澤穂信さんの「米澤穂信古典部」と北村薫さんの「太宰治の辞書」、市井豊さんの「聴き屋の芸術学部祭」

masahirom0504.hatenablog.com

 

今村昌弘さんの「屍人荘の殺人」

masahirom0504.hatenablog.com

 

そして藤崎彩織さんの「ふたご」です。

masahirom0504.hatenablog.com

 

 

記事にはしていませんが、樋口有介さんの「ぼくと、ぼくらの夏」もとても良かったです。ぼくが生まれる前の作品ですが、ジュブナイルミステリの中でも、ヒロインの女の子の描写がとりわけ素晴らしいです。

 

新装版 ぼくと、ぼくらの夏 (文春文庫)

新装版 ぼくと、ぼくらの夏 (文春文庫)

 

 


そして、2017年累計では、277冊の本を読みました。

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読書は別に量ではないですが、一応年間300冊は目標にしていたので残り23冊です。先週似鳥鶏さんの作品をまとめ買いしたので、11月はそれがメインになりそうな気がします。

 

 

 

余談ですが、角川書店から10年ぶりに新字源が改訂されました。

promo.kadokawa.co.jp

 

僕は何を隠そう漢字好きで、漢検準一級を持っています。(漢検一級は落ちました…。)

なので、漢和辞典も僕にとっては読み物の一つです。

今回、特装版はイラストレーターの中村佑介さんがカバーを描かれているということで早速買いました。

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興味のあるかたは、調べてみてください。

 

角川新字源 改訂新版 特装版

角川新字源 改訂新版 特装版

 

 

 

さらに余談ですが、最近つばなさんの「第七女子会彷徨」という漫画にはまっています。

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マサカズ・イシグロ氏の「それでも町は廻っている」が好きな方にはおススメです。タイトルは尾崎翠さんの「第七官界彷徨」のオマージュですね。

 

第七女子会彷徨(1) (RYU COMICS)

第七女子会彷徨(1) (RYU COMICS)

 

 

それでは、今月も読んでいきましょ〜!

ただのセカオワ本ではない、葛藤と前進が克明に描かれた小説。藤崎彩織「ふたご」を読みました。

今回は、藤崎彩織さんの「ふたご」(文藝春秋)です。

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発売日当日に読みたかったので、今回はKindleで買いました。北海道は東京で発売されてから2日後(2日後が土日祝の場合翌週の営業日)でないと読めないことも多いので、新刊でとにかく早めに読みたい!というときは電子書籍が便利ですね。

また、家の中が本でまた埋まり始めてきたので、少しでも在庫圧縮しなければという気持ちがあったというのもまたKindleで買った一つの理由です。2017年10月末現在で、Kindleに約700冊、実書籍で約1,200~1,300冊ぐらいあるんじゃないかと思います。自転車やキャンプ用品なども増やしていきたいので、そろそろもう少し大きい部屋に引っ越して書籍スペースを拡大するのもありかなぁと。なるべくシンプルな暮らしにあこがれていますが、好きなものを減らす必要はないと思っています。

 

藤崎さんは、SEKAI NO OWARIのバンドメンバー、Saoriとしても有名ですよね。僕も「世界の終わり」時代のときから何回か札幌のライブを見に行ったことがありますが、そのときから純粋なファンタジーのような世界観やメッセージ性の強い歌詞が特徴的で、このバンド絶対売れる!、とプロデューサー気取りでおすすめしていました。(笑)そのSaoriさんの処女作が「ふたご」です。

ふたご

ふたご

 

彼は私の人生の破壊者であり想造者だった。
異彩の少年に導かれた少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。

執筆に5年の月日を費やした、SEKAI NO OWARI Saoriによる初小説、ついに刊行!

【著者紹介】
藤崎彩織SEKAI NO OWARI
SEKAI NO OWARIでピアノ演奏とライブ演出を担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。雑誌「文學界」でエッセイ「読書間奏文」を連載しており、その文筆活動にも注目が集まっている。

――

ふたごのようだと思っている。
彼は私のことをそんな風に言うけれど、私は全然そんな風には思わない。

確かに、私は人生の大半を彼のそばで過ごしてきた。晴れた日も雨の日も、健やかな日も病める日も、富めるときも貧しきときも、確かに、私は彼のそばにいた。
けれどもその大半は、メチャクチャに振り回された記憶ばかりだ。
(本文より)

 

 まず、読んでみた感想を率直に言えば、すごく良かったです。今年のベスト10に入るぐらい良かったです。芥川賞候補に入ってもいいぐらいです。藤崎さんは、文學界で「読書間奏文」というエッセイを書いていて、初めて読んだ時に「すごく文章の上手い人だ」という印象がとても強く今回の小説もすごく楽しみにしていたのですが、エッセイ以上に美しいな文章が綴られていました。

 

⇒2017/12/20追記 直木賞候補になってみたいですね!芥川賞系統だと思っていただけに恥ずかしい間違いですが、ノミネートされるだろうと信じていました!

 

アーティストとして活躍しているというのもあって、上記の内容紹介にも書かれている本文冒頭を読んでも、すごくリズム感のある文章(調べ)が綴られていて、読んでいて楽しいです。本を朗読しているような、歌を歌っているような、踊りを踊っているような、そんな不思議な気分になるのです。すごく文章のセンスがあるんだなぁと思いました。(あとがきで書くのは大変だったとありますが。)

 

「俺はお前のこと、ふたごのようだと思っているよ」と。

そう、まるで「よう、兄弟、分かるだろ?」のニュアンスで。

私は全然そんな風には思わない……。

それなのに、彼がその言葉を口にするときのあの瞳に、誰かに何かを伝えようとするとき、少し斜視になるあの瞳に見つめられると、私は決まって、悪い魔法にかかったみたいに、こくんと頷いてしまうのだ。

まるで「おう、兄弟、分かるよ、当たり前だろう?」のニュアンスで。

 

文中のこの記載でまず、心が持っていかれました。

 

 

 登場人物は「月島」と「なっちゃん」です。月島となっちゃんとの出会いから、バンドとしてメジャーデビューするまでが描かれた、自伝的な小説です。もちろんのことですが、「月島」=Fukase、「なっちゃん」=Saoriです。また後編では「ぐちりん」=Nakajin、「ラジオ」=DJ LOVEも登場します。

前述しましたが、わりと初期のころからライブに行ったりしているので、小説を読んでいると、頭の中にメンバーの顔が浮かんできてしまいます。最近のではなく、「幻の命」のころの、まだ黒髪のSaoriやちょっと怖い雰囲気のあるFukaseが。

 

小説の中では、月島との関わり方で揺れ動くなっちゃんの内側や月島がADHDを発症して精神病棟へ入院するエピソードなども克明に描かれています。自伝的な小説だからこそ、どこまでがドキュメントでどこからがフィクションなのか、その境界線が曖昧になってしまうのが怖くもあり美しくもあります。

熱心なファンの中には、FukaseとSaoriが付き合っていると信じてやまない人々もいましたし、Fukaseが精神病院に入院していたというのはWikipediaにも載っている有名なエピソードです。それを知っているからこそ、余計になっちゃんが月島へ恋心を抱いていたように、SaoriもFukaseに恋心を抱いたいる時期があったのか、錯乱状態のFukaseがSaoriにカッターナイフを突きつけたのか、など色々勘繰ってしまうのです。

 

フィクションの壁をすり抜けて、実在する人物の内面に入り込んで、その人の心を裸にしているような感覚。自分がいけないことをしているような、読んではいけない私物の日記を読んでいるような感覚になってしまう、ムズムズしてしまうので、自伝的小説は読みたいけど読みたくないのです。ただ、読みたくないのに読んでしまうのです。

 

このSaoriのFukaseのそしてセカオワの結成が描かれた自伝的小説は、「ふたご」という題名ですが、文中にはあまり「ふたご」という言葉は出てこなかった印象があります。また、性格も全く違い、常に反発や喧嘩し合っている月島となっちゃんの姿は、一見ふたごに見えません。むしろ水と油のよう。月島が表ならなっちゃんは裏、月島が裏ならなっちゃんが表なのです。しかし、そんな反発や喧嘩の絶えない中でも、なぜかお互いが惹かれあっていく。そして運命共同体のような、表裏一体のような存在に。

月島となっちゃんの人生の浮き沈みも、呼応するようにまるで反対に訪れます。なっちゃんの頑張り時には月島絶望のど真ん中に。そして、月島が立ち直り調子がよくなると今度はなっちゃんどん底の気分に追いやられる。主人公の二人はらせんを描くように、サインとコサインのように、不思議な旋律のように、浮き沈みを繰り返し、前へと進んでいったように感じました。

 

次はアンサーソングではないですけど、月島視点での「ふたご」を読んでみたいと思いました。「冷静と情熱のあいだ」のように。

 

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

 

 

 

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

 

 

 

紗倉まなさんであったり、尾崎世界観さんであったり、最近違うメディア媒体で活動されていた方が本を出される機会が増えました。賛否両論はありますが、僕はもっともっと活発になっていいと思っています。皆さん、独特の体験や観念を持っている方々ですし、表現する媒体が異なるだけで、表現する、ということに変わりはありませんので。

読んで早々気が早いですが、藤崎さんの2作目、そしてエッセイの文庫化を早くも期待してしまう、そんな素晴らしい作品でした。

 

 

 

 

「古典部」好きにも「米澤穂信」好きにも必携の一冊。「米澤穂信と古典部」 (角川書店)

今回の読書記録は米澤穂信さんの「米澤穂信古典部」(角川書店)です。

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  「わたし、米澤穂信が気になります...!」となったのは2004年、中学生のころです。僕は地元の小さな本屋さんで「春季限定いちごタルト事件」を手に取ります。しかも表紙の絵が気になったから、という理由で。<古典部>シリーズではありませんでした。春季限定を読みおわり、「米澤穂信っていう作家、面白い!」となった僕が次に読んだのが「さよなら妖精」。マーヤとの出会いが僕を米澤沼へと足を踏み入れるきっかけとなりました。それから「クドリャフカの順番」が刊行されて初めて古典部を読み始めました...。とそういう経緯でございました。

 

 そんなもんで、<古典部>シリーズとの出会いは遅かった僕ですが、いざ読み始めるとめんどくさがり屋な折木くんのキャラクターがとてもはまって、というかしっくりきてしまってこちらのシリーズもまた、虜になってしまいました。その<古典部>シリーズからついにファンブックが発売。映画化記念でしょうか。

 

米澤穂信と古典部

米澤穂信と古典部

 

ある日、大日向が地学講義室に持ち込んだのは、鏑矢中学校で配られていた「読書感想の例文」という冊子。盛り上がる一同に、奉太郎は気が気でない――。
書き下ろし新作短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」の他、古典部メンバー四人の本棚、著者の仕事場や執筆資料も初公開!
氷菓』以来、米澤穂信と一五年間ともに歩み、進化を続けている〈古典部〉シリーズについて「広く深く」網羅した必読の一冊。


【CONTENTS】
Interview 〈古典部〉シリーズ15年のあゆみ
古典部〉書き下ろし短編 「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」
対談集――北村薫恩田陸綾辻行人大崎梢
著者による〈古典部〉シリーズ全解説
さらにディープな〈古典部〉隠れネタ大公開!
米澤穂信に30の質問 読者編/作家、声優、漫画家編
あなたの本棚見せてください! 古典部メンバー4人の本棚大公開
お仕事場拝見 2017年
『いまさら翼といわれても』刊行密着レポート!
米澤穂信マイルストーン
講演録 物語のみなもと
門外不出の〈古典部〉ディクショナリー

 

僕が愛してやまない米澤穂信さんの<古典部>シリーズのムックが発売されたのですから買わないわけがありません。こういう場合はKindleではなく、紙で買うのが僕の流儀です。

 

ムック自体はやや薄いですが、内容はかなり充実しています。「米澤穂信古典部」というタイトルに疑義あり、というぐらいに。笑

というよりも「米澤穂信」と「古典部」に関するムックなのでしょうね。それぐらい<古典部>シリーズの内容はもちろんのこと、同シリーズの紹介や掌編、豆知識だけではなく、米澤さんの読書遍歴やおすすめ本の紹介、北村薫さんや恩田陸さん、綾辻行人さん、大崎梢さんなどとの対談記事などもかなり詰め込まれています。

「九マイルは遠すぎる」や「戻り川心中」、最近「太宰治の辞書」の刊行でファン歓喜の<円紫さんと私>シリーズの「六の宮の姫君」など(あと初野晴さんの「クロスキューブ」も!!!)自分の書棚にもある珠玉の本たちも紹介していて、ファンブックとしても、ブックガイドとしても使える。最高です。最高です。

 

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

 

 

太宰治の辞書 (創元推理文庫)

太宰治の辞書 (創元推理文庫)

 

 

退出ゲーム (角川文庫)

退出ゲーム (角川文庫)

 

 


ちなみに米澤作品ではどれが好きですか?と聞かれるとどれも好きなのでなかなか選べませんが、思い入れのある「さよなら妖精」と山椒のきいた「羊たちの儚い祝宴」でしょうか。あとは変わり種のような正統派のような「折れた竜骨」。古典部が出てこない...(笑) 古典部では短編ですが「連峰は晴れているか」が一番好きかもしれません。

 

 

米澤穂信古典部」を読んだ後、特に気になった作品が、市井豊さんの「聴き屋の芸術学部祭」に収録されている 「からくりツィスカの余命」です。こちらは表題作が第5回ミステリーズ!新人賞の佳作に選ばれており、米澤さんもまた第10回から新人賞の選考委員をされております。

聴き屋の芸術学部祭 (創元推理文庫)

聴き屋の芸術学部祭 (創元推理文庫)

 

 実際に読んでみましたが、物語の結末を考える短編、読んでいる間ただひたすらに楽しかったです。紙芝居風の劇を想像しながら読み進める瞬間、どういう結末がいいんだろうと考える瞬間、結末がわかった瞬間、そして劇中の文章へと戻り読みする瞬間。純粋にワクワクしながら読むことができました。短編っていうのがまたいいですよね、物語が凝縮されているところが。ワクワク果汁100%みたいな感じでした。笑

 

そんなこんなで古典部ファンブックもとい米澤穂信ファンブック、是非お買い求めを。ちなみにkotobaの最新号でも、米澤穂信さんの理想の本棚が紹介されています。合わせてどうぞ。

 

kotoba(コトバ)2017年秋号

kotoba(コトバ)2017年秋号

 

 

 

 

ノーベル賞受賞作家カズオ・イシグロの「日の名残り」「わたしを離さないで」を今更ながら読んだ

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10月5日、カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞しました。

本当に素晴らしいことだと思います。

ノーベル文学賞にカズオ・イシグロさん|まるわかりノーベル賞2017|NHK NEWS WEB

 

くだんのハルキストたちは今年も村上春樹の受賞を期待していたようですが、村上春樹ノーベル賞は相性が悪いはずであるから、今後も受賞はないと思っています。村上春樹氏の作品が悪いというわけではなく、むしろ僕も好んで読んでいますが、村上氏の小説は読者層に普遍的な心理的影響を与え続ける一方で、社会的な影響はというと抽象的すぎて、貢献しているかどうかの判断がつきづらい。とそう思うわけです。

 

そして今回の焦点は、村上氏ではなく、カズオ・イシグロ氏のほうです。

恥ずかしいことながら、「日の名残り」と「わたしを離さないで」を持っていながらにして、わたしはながらく積読状態にしたまま、ノーベル文学賞の発表日を迎えてしまいました。まったく、遺憾であります。まさに忘れられた巨匠の積読の名残がわたしに読ませないで、というわけでございます。意味不明。

 

聞くところによると、Amazonでの注文は急増し、店舗在庫からは姿を消し、図書館は5年待ちだという。ともすれば、わたしが手元に持っているのは、幸運であり、運命であり、また義憤であるわけです。そんな思いもあって、今回この二作を読むことにしました。そして読み終わる。土屋政雄氏の訳が素晴らしかったおかげで、圧倒的なスピードで読み終わってしまいました。そして感慨に耽るわけであります。

 

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

 

(以下Amazon 内容紹介より引用) 

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞ブッカー賞受賞作。

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

(以下Amazon内容紹介より引用)

 自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点。解説/柴田元幸

 

 

日の名残り」はリアリズム的回想、「わたしを離さないで」は非リアリズム的回想と真逆の方向に書かれているような小説でしたが、どちらの小説も衝撃的な事実や出来事を淡々と静謐なタッチで徐々に明らかになっていく、その語り部が十分その出来事を咀嚼しつくし、その登場人物たちの内情がそうであることがさもあたりまえであるかのように描かれている。語り部のある種の人格者的な特徴は両作品とも似ているように感じました。

ただ、「日の名残り」の語り部であるスティーブンスについては、一部回想と事実に齟齬が生じるケースがあり、そういう点では咀嚼した結果、事実を理想化、美化してしまっている点があることだけは留意する必要があるかもしれません。

 

 

日の名残り」は過去の栄華な大英帝国時代への郷愁の念、「わたしを離さないで」は縋り付けない普通の生活への憧憬と諦観が、どちらも悲しくも儚くもあり、しかしながらその現実に向き合い続けたひたむきさというのでしょうか、ノーブル(ノーベルではなく)な佇まい。気高くあれ、の精神も感じられました。

 

限られた人生の中で、過去は事実のまま、現実は現実のままに受け入れるべきであるが、苦しい時代も前を向いて歩いていかなければならない。その先にどんな出来事が待ち受けていようとも、進むべき先に未来がある。それは決して希望のある未来ではないかもしれないが、それでも私たちは進むしかないのだ。カズオ・イシグロ氏はそう私たちに訴えかけているのかもしれない、とそう感じたのでした。

 

おわり。

時間が許す限り、これからもよい小説を読んでいきたいものです。