読書ノート

札幌在住の26歳。読書が好きで読書感想ブログをちまちま書いています。特に推理小説が好きですが、どんなジャンルの本でも読むように心がけています。おすすめの本は通年募集中です。

アンデシュ・ルースルンド「熊と踊れ」(早川書房)を読みました。

さてさて今年も自分のペースで本を読み、更新していけるように頑張ります。

 

今回は、アンデシュ・ルースルンドとステファン・トゥンベリの共作「熊と踊れ」(早川書房)を読みました。

 

 

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

(以下Amazon 内容紹介より引用) 

【ハヤカワ・ミステリ文庫創刊40周年記念作品】凶暴な父によって崩壊した家庭で育ったレオ、フェリックス、ヴィンセントの三人兄弟。独立した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を入手する。その目的とは史上例のない銀行強盗計画を決行することだった――。連続する容赦無い襲撃。市警のブロンクス警部は、事件解決に執念を燃やすが……。はたして勝つのは兄弟か、警察か。スウェーデンを震撼させた実際の事件をモデルにした迫真の傑作。最高熱度の北欧ミステリ。

 

この作品は、ミステリと書かれているものの、どちらかというとサスペンスドラマのテイストが強い小説という感じでした。実際の事件をもとに書かれているので、一つ一つの描写が細かかったり、どうしてここまで兄弟の人間描写が描けるのか不思議だなぁ、なんて思ったり、刑務所で詳細な取材をしたのかなぁ、などと考えたりもし、単なる小説の枠を超えた小説でした。その辺やあとがきも含めると、広い意味のミステリなのかなぁ。

 

 

実はこの事件聞いたことありまして、というのも昔、世界仰天ニュースだかでやっていたような、そしてそれをリアルタイムで見ていたような気が……。

 

 

華麗なる銀行強盗の手口、兄弟のやり取り、親子の確執、犯罪の成功への自惚れ、警察の執念などが丁寧に書かれているので、1200ページ近くありかなり分厚いですが、どんどんめくりたくなるぐらいテンポよく読み進めることができるはずです。

 

 

そしてなによりタイトルがいいですよね。熊と踊れ。原作もBJÖRNDANSENなので、原作通りの翻訳ですね。作中で上級生に殴られたレオが父親からケンカの仕方を習います。

「お前は相手の鼻を殴った。そいつが前かがみになった。そうしたら、あとはそいつが立ち上がれなくなるまで、ひたすら殴りつづけろ。敵が何人だろうと、おまえは負けない。相手がひとりでも、ふたりでも、三人でも関係ない。これはな……熊のダンだ、レオ。いちばんでかい熊を狙って、そいつの鼻面を殴ってやれば、ほかの連中はみんな逃げ出す。ステップを踏んで、殴る。ステップを踏んで、殴る!そいつのまわりでステップを踏んで、パンチを命中させる。たいしたパンチに見えなくても、何度もやられれば相手は疲れてくる。混乱して、不安になってくる。そこにお前がまた次の一撃を食らわせる。ちゃんとステップを踏んで、ちゃんとパンチを命中させれば、お前は熊にだって勝てる!」

 

このケンカ手法が銀行強盗にも通じるということなのかなぁ、と。大したパンチに見えなくても何度も何度もやって混乱させる。そこで次の一撃を加える。油断はしない。リスクは適切にコントロールするんだ。しかし大胆に攻撃する。奪って奪って奪いまくれ。そうすれば警察だって出し抜くことはできるさ。抜かりはない。そんな感じでしょうかね。面白かったです。

 

 

北欧ミステリといえば、スティーグ・ラーソンの「ミレニアム」シリーズやレナ・コバプールの「スーツケースの中の少年」なんかもありますが、こちらも同様に北欧ミステリの傑作としていいのではないかと思っております。 

 

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

スーツケースの中の少年 (講談社文庫)

スーツケースの中の少年 (講談社文庫)

 

 

それでは。

 

 

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