読書ノート

札幌在住の26歳。読書が好きで読書感想ブログをちまちま書いています。特に推理小説が好きですが、どんなジャンルの本でも読むように心がけています。おすすめの本は通年募集中です。

【2017年版】4誌ミステリランキングを総括してみました。

12月も中頃となり、年末までもうあと2週間なんて早いものですね。

今回は、毎年12月のお楽しみミステリランキングを総括してみました。対象としたミステリランキングは、「ミステリが読みたい!」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」「週刊文春ミステリーベスト10」です。

 

まず、上位10作品を集計した結果が以下のとおりです。

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青字が4誌で入賞、以下、赤字が3誌、緑字が2誌、黒字が単独となっています。

 

■他誌とのかぶり

他誌との関連(かぶり)については、国内小説は「このミステリーがすごい!」の9冊かぶり、海外小説は「週刊文春ミステリーベスト10」の9冊かぶりが最大でした。

 国内小説については、2誌かぶりの作品①古処誠二「いくさの底」、②山本巧次「開化鐵道探偵」はいずれもハヤカワ「ミステリが読みたい!」との2誌入賞で、これはアンケートの回答者かぶり(直井明さん、郷原宏さん、小山正さん、若林踏さん、慶應義塾大学推理小説同好会)が一つの要因でしょうか。もちろん回答者かぶりはこの2冊に限りませんし、この5名に限りません。また③辻村深月かがみの孤城」、④柚月裕子「盤上の向日葵」はいずれも「週刊文春ミステリーベスト10」との2誌入賞で、これは2誌の"ミステリー"の範囲がほかの2誌の"ミステリ"の範囲よりも広義であることから入賞したものと考えられます。なお、ダ・ヴィンチの小説ランキング1位は③辻村深月かがみの孤城」となっています。

 海外小説については、要因は調査中です。ただ、「本格ミステリ・ベスト10」は「本格」が国内発となっている点や、ページ数の配分から見ても、海外小説はおざなりな傾向にあるように見えます。

 

■対象作品の期間

今年の人気作「屍人荘の殺人」「13・67」「ミステリー・クロック」がハヤカワ「ミステリが読みたい!」にてランク外となっていますが、これはハヤカワの対象期間が他誌に対して1ヶ月ずれているためです。(2016年10月〜2017年9月)

 

「13・67」:2017年9月30日刊行

「屍人荘の殺人」:2017年10月13日刊行

「ミステリークロック」:2017年10月20日刊行

 

「13・67」はぎりぎり9月刊行ですが、回答者に対して対象作品を全て読んだ上で回答することを求めているわけではないので、対象期間ぎりぎりの奥付となれば、読んだ回答者も少なかったのでしょう。

 不運なことに今回は9月末、10月に良い作品が沢山刊行されてしまいました。上記のうち2作品は来年度の「ミステリが読みたい!」の対象作品となりますが、そこで2作品がランクインしても今更感は否めないでしょう。

 

 ■「ミステリー」と「ミステリ」、そして「本格」

 「本格ミステリ・ベスト10」は、他誌と比べて「本格」の条件があるためか、母集団が少なく上位10作品に得票率が固まる傾向があるようです。特に1位の「屍人荘の殺人」333票、「13・67」218票は、2位の得票率と比べてもかなりの差があり、「本格」ゆえにプロットのロジックの美しさなど回答者の軸がある程度一定なのが伺えます。一方、他誌で人気の「フロスト始末」や「機龍警察 狼眼殺手」は、本格外(サスペンス寄り)のため、ランクインならずと、良くも悪くも、母集団の狭さが現れています。

 

■集計に基づく読むべき作品

調整項目(刊行の時期、対象範囲)を踏まえた4誌(ほぼ)掲載の、ミステリ好きがマストで読んでおく作品はこんな感じでしょうか。


【国内編】
・今村昌弘「屍人荘の殺人」東京創元社
伊坂幸太郎「ホワイトラビット」新潮社
有栖川有栖「狩人の悪夢」KADOKAWA
月村了衛「機龍警察 狼眼殺手」早川書房
貴志祐介「ミステリークロック」KADOKAWA

 

【海外編】
・R・D・ウィングフィールド「フロスト始末」創元推理文庫
・陳浩基「13・67」文藝春秋
・ケイト・モートン「湖畔荘」東京創元社
・ビル・ビバリー「東の果て、夜へ」ハヤカワ文庫
・ヴィエト・タン・ウェン「シンパサイザー」早川書房

 

ちなみにあげた作品のうち僕が読んだものは「屍人荘の殺人」と「ミステリークロック」、買っているけど読んでないものは「フロスト始末」と「13・67」です。全然読めてないですね...(笑) シリーズものだとどうしても最初から読みたくなるので最新刊にたどり着くまで時間がかかったりするのが原因だと言い訳しておきます。読めていない作品は年末年始を使って読もうかと思います。

 

今年もあと少しですが、最後まで読書を楽しみましょう!