読書ノート

札幌在住の26歳。読書が好きで読書感想ブログをちまちま書いています。特に推理小説が好きですが、どんなジャンルの本でも読むように心がけています。おすすめの本は通年募集中です。

読書好きの読書好きによる読書好きのための本 ーー「本の虫の本」(創元社)

いきなりだけれど、僕は本を読むことが好きだ。読書が好きだ。対外的に見ても、たくさんの本を読んでいる部類だと思う。世の中には全く本を読まない人達がいる一方、上を見れば、この人は本を食べて生きているのではないかと思えるぐらい、山積みの本の中で生活している人たちもいる。ウンベルト・エーコは本宅と別荘合わせて5万冊の蔵書をもっていたというし、井上ひさしは一日30冊読んでいたというし、立花隆は本のためのビルを所有しているという。

 

電子書籍が広まって以降、一読しかしないであろう本や長編シリーズもの、漫画・雑誌などは積極的に電子媒体で購入を行ってきたが、それでも電子化100%とはいかず、専門書や古い小説やお気に入りの本などは紙媒体で保管しておきたくなる。

 

保管のしかたも人それぞれだ。僕はくたっとした本が好きだから、帯や栞をなくしても愛着が湧くし、たくさんのドッグイヤーもぼさぼさになったスピン、開き癖、ヤケ、それも生活の証だとポジティブにとらえられる。一方で、スリーブをつけ、日の当たらず風通しのよい本棚に保管をし、読むときには完全に開き切らないようにする、それぐらい本を丁寧に扱う人もいる。

 

たくさんの本を収集している人、読んでいる人、本にこだわりがある人、装丁が好きな人…、そんな本に魅せられた人たちを「本の虫」と呼ぶ。英語でもBookwormというのだから、本の虫は世界標準だ。

 

そんな本の虫のための本こそ「本の虫の本」(創元社)である。

本の虫の本

本の虫の本

 

本に埋もれて、生きる。

本とともに暮らし、本を血肉として生きてきた真性の「本の虫」5人衆がここに集結!
ジャーナリズム、古本屋、新刊書店、装幀など、それぞれが活躍する領域で、
本の世界にまつわるキーワードを並べ、自由気ままに解説する。
本好きの心をくすぐるウンチク満載、
次に読みたい本を見つけるブックガイドにもおすすめ。
すべての本好きに贈りたい、本の世界を縦横無尽に楽しむための案内書。

 

先日(といってもかなり前の話になってしまった)神保町に遊びに行ったとき東京堂書店で偶然目にして、タイトルを見て一目ぼれしてしまった。(後々その日が発売日だったということがわかった!)創元社はSFやミステリで有名な東京創元社ののれん分け前の母体となった出版社で、それも創元推理文庫が大好きな僕が手に取ることになったきっかけの一つである。

 

この本は、ひたすら本にまつわる言葉や思い出などを、5匹の本の虫がひたすらに書き連ねているだけの本であるが、それゆえに本に対する思いが溢れんばかりに詰まっている。

 

「全部読んだんですか?」では、「本をたくさん持っている人に決してしてはいけない質問です。」から文章が始まる。
読書好きな人にとっては、積ん読は読書の一部だ。だから全部読んだかなんて質問は、野暮であり、禁句なのだ。そして中には面白くない本も、到底最後のページまで読めない苦痛な本もあるわけであり、「全部読んだか?」と聞かれれば、「あの本は途中で読むのをやめたから、全部読んだとは言えない。」と屈辱的な返答をするしか無くなってしまう。だから、決してしてはいけない質問なのである。

 

細かいことは言わない。

下記の目次の中で、一つでも気になった項目があればそれはこの本を読むべきであるし、きっとあなたは本の虫なのである。

 

▼第一章 ハヤシウンチククサイムシ
犬耳する/自転車操業/全部読んだんですか?/つんどく/小脇にはさむ/作家/
女は女である/受贈本/ビブリオマンシー/四百字詰原稿用紙/本を食べる/SM/
100冊/フィロビブロン/たのしみは/読書会/エブリマン/たった一度の広告/
本の木/空飛ぶ本/ゆっくり読む/青木まり子現象/本棚崩壊/ゲタとイキ/
たいせつなことは目に見えない/本は泣いているか/√2矩形/
古本はチョコレートの匂い/新刊はゆまりの匂い…など

▼第二章 ノムラユニークホンヤムシ
靴跡/うろ覚え/カバーおかけしますか/みつからない/倉庫さらえ/埃/
本屋と子ども/本を贈る/猫を抱いて本屋になる/客注台帳/この本、ありますか/
檸檬/装丁で並べる/不良な本/夢に見た本/検索/スリップ/本屋で本は読めるか/
本を包む/フリーペーパー/オンラインショップ/本屋泣かせの本/面陳/棚出し/
座り読み/ZINE/本屋で一人きり/ちょっとした偶然/小さな出版社/本屋と喫茶

▼第三章 オギハラフルホングラシムシ
はしご健康法/古書の壁/背表紙と匂い/本の山/せどり今昔物語/電子書籍/
活字中毒の漫画家/帯と函/ネット古書店/作家の不遇時代/本の友/掘り出し物/
修練/倦怠感/ミステリー料理事典/蒐集癖/小さな町にて/理想の住まい/整頓/
イン&アウト/編集者/ききめ/ツブシ/雨の日/ジンクス/マタイ効果/別名/
再読率/書物の敵

▼第四章 タナカコケカメムシブンコ
インターネット/倉庫問題/店番危機/古本屋の中の新刊書/汚れ落とし/
消しゴムと線引き/本屋の匂い/紙袋の判子おし/紙魚/組合未加入/店猫/看板猫/
品揃え/自著/記憶の底の古本屋/郷土作家/値札/買取り/変な配置/
本ではないもの/本と水/腰痛/蟲の字

▼第五章 オカザキフルホンコゾウムシ
本とつきあう法/講談社文芸文庫/ご当地小説/ティッシュボックスの空き箱/
索引および人物紹介/本の虫の大敵/本のページを開く日/トイレ本/
半世紀前の未来とは?/野球場内にあった古本屋街/アクセサリーとしてのポケミス/
本の運命/ライト・ヴァース/漫画が教えてくれた/児童書だってバカにできない/
本の夢/単行本/編集者/白い本、黒い本/点と線/「本の虫」名言集/本の埃/
同じ本を何冊も買う/自装本/読書の守護神/豪華本・限定本/日めくり本/
スクラップブック/古い観光ガイド/おすすめの本