読書メモ

札幌在住の26歳。一応公認会計士。ほぼ読書記録ブログと化してます。比較的なんでも読みますが、一番好きなジャンルは推理小説。

悪女になり切れない悪女へ。東京創元社から待望の新刊、辻堂ゆめ「悪女の品格」を読みました。

8月になりました。
最近はもっぱら登山に行ったり、ドラクエXIの攻略にいそしんでいます。

 

今回読んだのは、辻堂ゆめさんの「悪女の品格」(ミステリ・フロンティア)です。

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なんとサイン本。

サイン本がネットで買えるとは便利な世の中です。(いいのかは別として笑)

 

 

 

悪女の品格 (ミステリ・フロンティア)

悪女の品格 (ミステリ・フロンティア)

 

 (以下Amazon 内容紹介より引用)

「普通になんて生きられない。金がないと」光岡めぐみは三人の恋人を器用に転がし貢がせ、贅沢な生活を送っている。ところがこの一週間、監禁や薬品混入事件など何者かに次々と狙われるようになり、そして彼女自身の過去の罪を告発する手紙が届く――。めぐみはパーティーで知り合った大学准教授と共に犯人を捜すが……。わたしを狙うのは、誰? 東大在学中にデビューを果たした今注目の新鋭が放つ、渾身の長編ミステリ!

 

辻堂さんは、「いなくなった私へ」でこのミステリーがすごい!大賞で優秀賞を受賞後、「コーイチは、高く飛んだ」や「あなたのいない記憶」など、宝島社から作品を出しています。そんな辻堂さんの待望の新刊は、なんとミステリ・フロンティアから。うれしい。

 

 

いなくなった私へ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

いなくなった私へ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

 

コーイチは、高く飛んだ (『このミス』大賞シリーズ)

コーイチは、高く飛んだ (『このミス』大賞シリーズ)

 

 

あなたのいない記憶

あなたのいない記憶

 

 

 

ミステリ・フロンティアは、僕の大好きな東京創元社から出しているフランス装版のレーベルです。馴染み多いのは、創元推理文庫や創元SF文庫ですが、ミステリ・フロンティアで発刊された作品の多くは、創元推理文庫で文庫化されます。有名どころで言えば、伊坂幸太郎さんの「アヒルと鴨のコインロッカー」や海藤尊さんの「夢見る黄金地球儀」、米澤穂信さんの「さよなら妖精」など。最近では、深緑野分さんの「オーブランの少女」などでしょうか。

 

 

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

 

 

 

そんな、僕が推している新進気鋭の作家が、僕のもっとも好きな出版社から出す最新刊「悪女の品格」、楽しみじゃないわけがありません。

 

 

「悪女の品格」は、大女優の娘で、かつてはいじめっ子、今では三股をかけ金持ちの男を手玉にとる悪女、めぐみがマンション近くの物置で目を覚ますところから物語が始まります。物置に閉じ込められてしまっためぐみは、その後も塩酸をかけられたり、脅迫文が送られたりと散々な目に合います。

 

 しかし、めぐみはめげない女。婚活パーティーで出会った優良物件の准教授とともに、過去の清算をしつつ、物語は進んでいきます。脅迫の内容が意味するところとは。犯人はいったい誰か。そして犯行の動機は。

 

悪いのに、本当にいいところはあまりないのに憎めないめぐみと、正体不明のイケメン准教授の息の詰まった、息の合った掛け合いも含めて、一気読みしてしまう楽しさが散りばめられた作品でした。

今回も最後に少し心温かくなる結末でした。(で、いいんですよね?笑)

 

 

「悪女の品格」というタイトル。

 

悪女、と聞くとどうしても思い出してしまうのが中島みゆきさんの名曲「悪女」。

マリコの部屋へ~♪、と出だしが印象に残る、悪女を演じ切れないいい女の曲ですね。

 

サビはこんな感じ。 

 

悪女になるなら 月夜はおよしよ 素直になりすぎる

隠しておいた 言葉がほろり こぼれてしまう 「行かないで」

悪女になるなら 裸足で夜明けの 電車で泣いてから

涙ぽろぽろ ぽろぽろ 流れて涸れてから

 

 

最初、「悪女の品格」と聞いたとき、この中島みゆきさんの「悪女」の歌詞を思い浮かべながら、悪女になり切れないいい女の話かなと思っていましたが、めぐみは藤沢において行かれても、飛び入り参加した婚活パーティーで出会った男とともに、しっかりパンプス(笑)を履いて、夜が明ける前に車で「いい男ゲット!」と思いながら帰る女ですからこの悪女よりは悪女なのでしょう。

 

しかし、准教授には「どうも君は悪女の品格が備わっていない。まったくないとは言わないけど、ずいぶんと中途半端だ」なんて言われてしまっている点からすれば、悪女になり切れないいい女、という解釈もあながち間違っていないのかな、と思います。

 

彼女なりのバックグラウンドがあって、悪い女を演じている、少しは魔性さが備わっているのかもしれませんが、悪女を演じることに自棄になっているような寂しい女性のように僕にはうつりました。

 

この一連の事件を通じて、いい女のメッキがはがれ、今までの友人はみんないなくなってしまったけれども、同時に悪女のメッキもはがれ、新しく生きてみようと前向きに決心できた彼女の品格は、きっといい女へと向かうのだと信じています。

 

私がいなくなって、あなたがいなくなって、今度はみんながいなくなった、辻堂作品、何もかもがなくなる日は近いのかもしれません。

 

なんて。

 

締め方が雑ですが、今回はこの辺で。