読書ノート

札幌在住の26歳。読書が好きで読書感想ブログをちまちま書いています。特に推理小説が好きですが、どんなジャンルの本でも読むように心がけています。おすすめの本は通年募集中です。

ぼくのりりっくのぼうよみと落合陽一氏の対談を考える

全国的に冷え込むことが予想され、北海道も強烈な寒気に襲われている。らしい。

世間での出来事は知らないが、少なくとも家の水道が凍結したことだけは確かだ。

今後少なくとも2日間は水が出ない可能性もある。

どうしましょう。

 

しかし僕にとって、うれしいニュースが続く。

 

僕は藤原さくら、ぼくのりりっくのぼうよみ、池田エライザのファンだ。

もちろん、宮崎あおいBUMP OF CHICKENのファンであることも忘れていない。

それは些細なことだと思う。

 

natalie.mu

 

朝からうれしいニュースが舞い込み、今年一番の13日間の中で一番のうれしい話題であった。

僕の好きな藤原さくらと僕の好きなぼくのりりっくのぼうよみと僕の好きな羽海野チカのコラボレーションがみられるとは、朝から飛び跳ねたくなるように記事をサラリと呼んだ。

 

そして、今日の22時から始まった藤原さくらのツイキャスにて、

3月のライオンのテーマソングを歌うことの報告

スペースシャワーミュージックアワードのベストブレイクスルーアーティストにノミネートされたこと

③2月ぐらいにファンクラブができる予定だということ

が報告され、なぜかそのタイミングで全く関係のないぼくのりりっくのぼうよみの(携帯代に含めて引き落としなのが気に入らない)ファンクラブに入会した。

つい先日まで会員限定でワンマンツアーの申し込みがあったのに、それが終わった直後になぜか入会した。なぜかはわからない。

 

そして今日の何よりの出来事はまさにこれである。今日一でエモいやつ。

noahs-ark.click

 

ノアの方舟。ぼくのりりっくのぼうよみがクラウドファンディングサイトCampfireで集めた資金を元手に期間限定のオウンドメディアを運営する試み、そのサイトが公表されたのである。

ぼくもしがないパトロンの一人である。

ぼくのりりっくのぼうよみが10人の(言葉を借りると)エモい人たちと対談するジュウエモ企画の第一弾としてメディアアーティストの落合陽一氏との対談が公開された。

 

その対談の内容がとても興味深い(なぁ、って言える自分かっこいいと思われたいだけで、実際にはただ水面に浮かんだ藻屑を漁っているだけだけど、考えてみる分にはタダだよね)と思ったので、自分なりに斟酌してみることにする。

 

対談のテーマは「情報洪水の中での生き方」である。

対談の内容を完結に記載すると以下のようになる。

いや、かなり咀嚼している。

 

①僕たちは、自由意志を失う哲学的ゾンビになりかねない。「生きながらにして死」と隣り合わせの状態である。

②自分にとっての情報を取捨選択できるように、他者を参照した「相対的な確固たる私」を持つ必要がある。

③今後、実質と物質、機械と人間等の区別がつかなくなる。非合理的な規範を作成することが自由意志を持つ私たりえる。

④音楽も規範が教義される経典の一つかもしれない。

⑤自我=身体となっていく将来、自由意志そのものというよりは、自由意志のコントロール(コントロールのコントロール)が重要になってくるのかもしれない。

 

 

情報統制に翻弄された人々は今、情報過多に翻弄されている。トランプ氏がCNNとBuzzfeedは偽のニュースを流すメディアだといったり、DeNAをはじめとしたキュレーションメディアの記事作成の実態も耳に新しい。自ら直接的に入手できる情報はごくわずかであり、僕たちは信用できるものから信用できないものまで様々なメディアを通してしか情報を入手できない。

「私」というものを絶対的に定義づけることは難しい。「私を私付けるもの」は究極的には私自身の身体のみでしかない。いやそれも違うかもしれない。他人の身体に「私が私だと思っているもの」を移植したものは果たして「私」なのだろうか。

自己が他者ではない、と認識することは、たくさんの細かな物差しで片っ端から比べてできたゆえの産物でしかないし、自己=他者であっても、多くの場合は困らないかもしれない。私が私たりえるために、その産物を「私」として大事にしているのだと思う。ただ、その産物を認識しない、自己=他者がフィロソフィカルゾンビーとして蔓延している。僕もおおむねゾンビだ。

AIやVRの研究は今後もものすごい速度で発達していき、ディックやハインライン伊藤計劃らが想像(創造)した未来は現実化するかもしれない。ソード・アート・オンラインのような実質化における事象が物質化に影響する未来は近いし、それ以上のものが実現すると思う。実数と虚数、実像と虚像が存在するなら、「実私(I)」と「虚私(i)」が存在するはずであり、私が私(実私)であるために<head>....<title>[私の名前]</title></head>......とプログラムすることでようやく識閾下に私を保てる。自由意志は規制してこその自由意志なのである。

ハーモニーで嗜好品が規制されるように音楽もまた一種の嗜好品として規制されるような世界になる得るのだろうか。わからない。音楽に言葉や音を発することは必ずしも必要ではないと思う。初音ミクだって音楽だし、頭の中で音楽を奏でられる。自由意志が強制されない限り、音楽は残るのだと思う。そしてそれが私を定義づけるファクターの一つにはなり得るはずだ。

落合陽一氏が挙げていた産業革命以降、人間の代替可能性が人間を定義づける必要性を生み出した。とすれば人間のすべての機能を代替できたとすると、「人間がする」ことは人間を定義づけられなくなり、「人間である」ことだけが人間の定義となる。自由意志は理性的な人間の判断のコントロールであるから、「理性」的な人間は「人間がする」ことはしない。しかしそれは本来の意味でのゾンビとなってしまう。したがって、「理性的な人間として判断のコントロール」するかどうかのコントロールをすることで、あえて自己規範を設けることで、私が私であることが、私として行動し思考することができるはずなのである。

 

さぁ、ノアよ、大洪水を避けるために、ノアにとっての方舟を作るのだ。

 

私にとっての方舟は?

 

しかし、まずは何より、大寒波を救ってほしい。

僕の家の水道の凍結を、救ってほしい。

古都ロンドンを眺める。サラ・ウォーターズ著「荊の城」を読んで。(書評)

こんにちは。

今回はサラ・ウォーターズの「荊の城」(創元推理文庫)を読みました。

 

僕の好きなレーベル、東京創元社創元推理文庫。好きだという割にはまだまだ読めていない小説がたくさんあります。

すこしずつではありますが、読み進めていきますよ。

 

 

 (以下Amazon 内容紹介より引用)

19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、下町の故買屋の家に暮らしていた。ある冬の晩、彼女のもとに顔見知りの詐欺師がやってくる。さる貴族の息子というふれこみで、〈紳士〉とあだ名されている、以前スウの掏摸の腕前を借りにきたこともあった男だ。彼はスウにある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その巨額の財産をそっくりいただこうというのだ。スウの役割は、令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。


*第1位「このミステリーがすごい! 2005年版」海外編ベスト10
*第1位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門・作家部門・評論家部門
*第2位「週刊文春」2004年ミステリーベスト10/海外部門
*第8位『ミステリが読みたい!2011年版』ゼロ年代ミステリベスト・ランキング海外篇

 

「スウ」と「モード」という二人の少女が数奇な運命に翻弄されながらも生き続ける姿、19世紀のロンドンの姿が目に浮かぶような情景描写、登場人物の重いながらも軽妙洒脱なやり取り。原作者と翻訳者の手のひらの上で転がされているように、何もかもが面白く興味深く、明日も仕事であることを忘れて、寝食を忘れて一気読みしてしまいました。

ミステリでありながらもミステリの枠だけでは収まらない作品でありました。作者のウォーターズはレズビアンであることを公言しており、本作品においてもスウとモードのレズビアン的なやり取りが随所にちりばめられていますが、それが単に淫らではなく耽美なものとして書かれているのは、小説における重要なファクターであることと著者の筆力のたまものだと思います。

また、「クリスマス・キャロル」「二都物語」「大いなる遺産」などで知られるチャールズ・ディケンズの生きた時代になぞらえて、ゆかりの地がオマージュとして書かれている点も見逃せないですね。コリンズ、ドイル、チェスタトンも携えて、古都ロンドンを味わう旅にでたくなります。

 

クリスマス・キャロル (新潮文庫)

クリスマス・キャロル (新潮文庫)

 

 

ちなみに原題は"Fingersmith"。直訳すると指の鍛冶屋すなわち「掏摸」で、これはスウの泥棒稼業や手先が器用なことを示しているのだと思いますが、タイトルの意味はそれだけではなく、手先が器用な人、という意味から、女性のマスターベーションや女性同士のセックスの隠喩であるといわれています。スウとモードの秘め事はレズビアンの作者にとっても一つの主張であったのでしょう。

日本での刊行名は「荊の城」。モードの住むブライア城の直訳ではありますが、「掏摸」では内容が不明確かつ隠喩が伝わらない点や当時の日本社会においてレズビアンを想像させるタイトルでは小説の表面だけを触られてしまう点を懸念したのでしょうか。「荊の城」は雁字搦めになった主人公(モードだけではなくスウも)の状態や世間とは隔絶された情景描写が感じられる良いタイトルだと思いました。「茨の城」じゃあ、コシヒカリになってしまいますからね。

 

題名から結末は見えていても面白い、何度も読み返したくなる本でした。

 

ではでは。

 

 

 

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Drop'sのライブに行ってきました。

こんにちは。

1月8日に開催されたDrop’sの札幌ワンマンライブ "Sweet Journey Blues"に行ってきました。

 

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 (http://drops-official.comより引用)

 

(以下、公式サイトBiographyより引用)

Drop's are......

札幌在住, 女子5 人のロックバンド。 2009 年、同じ高校に入学し偶然出会った、中野ミホ(Vo&G)、荒谷朋美(G)、小田満美子(B)、石橋わか乃(Key)、奥山レイカ(Dr)の5 人でDrop's を結成。
高校2 年生の夏休みに初めて作ったオリジナル楽曲『泥んこベイビー』で挑んだ高校生バンドコンテストでグランプリ獲得。


2012 年7 月に北海道の夏フェス「JOIN ALIVE」への初出演。

2013 年9 月4日には「太陽」をリード曲に据えた、Drop's 初のフルアルバム『DAWN SIGNALS』をリリース。
2014 年3 月には『DAWN SIGNALS』が[第6回CD SHOP 大賞2014"北海道ブロック賞"]を受賞。
2014 年5 月、1st EP「コール・ミー」、7 月には2nd フルアルバム「HELLO」をリリース。
2014 年8 月全国ツアー"Drop' s「HELLO」TOUR 2014"(全9 公演)を開催、大阪・東京(SOLD OUT)・札幌(SOLD OUT)はワンマン公演。
2015 年4 月には3rd EP「未来」をリリース。7月には3rd フルアルバム「WINDOW」をリリースし、"ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015""RISING SUN ROCKFESTIVAL 2015 in EZO"への出演も果たす。9 月、Drop's ONEMAN TOUR 2015 「View from WINDOW」開催。 2016 年春公開の話題映画『無伴奏』、初夏公開の映画「月光」の2 作の主題歌を担当。3 月にワンマンツアー「Drop's 2016 TOUR MARCH WITH ME」4 月"ARABAKIROCK FEST.16"への出演、「ミュージック・ジャケット大賞 2016」にて 3rdFULL ALBUM「WINDOW」が準大賞を受賞! 5 月25 日 4th FULL ALBUM「DONUT」をリリース。

2017年1月8日、Drop's ONEMAN LIVE「SWEET JOURNEY BLUES」を開催。

 

今回のライブでDrの奥山レイカが左腕の痛みや痺れ等により脱退すること、また活動の拠点を札幌から東京に移すことが決まっており、"Sweet Journey Blues"はその脱退前・上京前の最後のライブとなりました。

cube gardenで17時からのスタート。ちょっと早いスタート時間で、旅立ちのライブでもあったためか、一般受付のほかゲスト受付が。彼女たちの友人やご家族もお呼びしてたんじゃないかなぁ。

会場にはたくさんの人が。以前藤原さくらさんのライブでcube gardenに行ったときは前方シッティングだったので、少人数にしぼったライブという感じでしたが、スタンディングだと300人弱ぐらい入る箱なのでしょうか、満員御礼という感じでした。

 

Drop'sはバンドでの活動のほか、Vo.中野ミホ単独でのステージ出演も多く、そのブルースに合うスモーキーな歌声は同年代だけではなく幅広い世代を魅了するに間違いありません。そして歌声を支えるバンドメンバーは、ブルースだけではなく、等身大の青春ロックや昭和歌謡の様な多様な曲調をバランスよく奏でており、バンド全体の実力は折り紙つきです。

 

今回もライブトークはほとんどありません。Vo.中野が口下手、シャイなところもあって、「こんばんは、ドロップスです、どうぞよろしく」のあいさつ以外は2時間ぶっ通しで歌い続け、引き続ける圧巻のパフォーマンスでした。20曲以上うたったんじゃないでしょうか。「かもめのBaby」「ダンス・ダンス・ブラックホール「太陽」「アイスクリーム・シアター」「コール・ミー」「さらば青春」「未来」「十二月」「ドーナツ」「どこかへ」etc...

ほぼ息継ぎだけで2時間を歌い切ったあと、このライブで脱退するDr.奥山からのメッセージもたった一言だけ。去り際までかっこいい。

 

言葉で多くは語らないDrop'sの東京での活躍を期待してます。

いつまでも口下手であれ。

 

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Drop'sの公式サイトはこちら。

drops-official.com

ゾーイ・ヘラー「あるスキャンダルについての覚え書き」(ランダムハウス講談社)を読みました。

こんにちは。

僕は今日が仕事始め、今年も一年健康に仕事をできるように頑張っていきたいと思っています。

 

今回はゾーイ・ヘラーさんの「あるスキャンダルについての覚え書き」(ランダムハウス講談社)を読みました。

 

あるスキャンダルについての覚え書き

あるスキャンダルについての覚え書き

 

 (以下Amazon 内容紹介より引用)

2003年6月にイギリスで出版され、同年のブッカー賞の最終候補作になった小説です。夫も子どももいる40代の美しい陶芸教師と、教え子の15歳の少年とのスキャンダルの真相を綴るという設定で、実際にあった事件にヒントを得ています。しかし、本書の醍醐味は実はまったく別のところにあります。小説は、美しい女教師シバが赴任してきたときからその一挙手一頭足をじっとみてきた60代の女教師、バーバラの手記というかたちで綴られます。最大の読みどころは、シバとバーバラ、とくにバーバラの内奥を浮かび上がらせる作者の筆力です。年齢も、生まれ育った環境も、容貌の美醜も、すべてが自分とは異なるシバが、教え子とのスキャンダルによって家族からも地域社会からも糾弾され、打ちのめされていく様子を、バーバラはなんともいえない語り口で書きつづっていきます。傍目には、バーバラはシバの擁護者でありながら、人間の有り様とはそれほど単純ではないということが、じわじわと読む者に突きつけられてくるのです。

 

 内容紹介にも記載されている通り、2003年に刊行され、同年のブッカー賞候補となりました。惜しくも「ヴァーノン・ゴッド・リトル 死をめぐる21世紀の喜劇」(都甲幸治訳)に受賞を譲ってしまいましたが、2006年に映画化されたりと大きな話題を呼んだ著作です。

 というのも、本作品は、1997年にアメリカで実際に発生したメアリー・ケイ・ルトーノー事件として話題となった事件をベースとして書かれています。もちろん事件とは内容を改編しており、小説としてはフィクションになってます。

 

 

 小説は題名の「覚え書き」(原題:Notes on a Scandal)のとおり、主人公シバの様子を自称親友のバーバラが個人的な手記としてまとめている、という体裁をとっています。実際の事件では、主人公の夫が主人公の不倫相手である未成年の少年とやり取りした手紙を発見したことから内情が発覚するため、このバーバラはオリジナルのキャラクターだと思われます。

 本作の面白いところは、まさにこのバーバラの手記がそのまま刊行されているという体裁をとっているところにあり、その記載が客観的事実に基づいて記載されているものというよりは、孤独な老人(というには若いかもしれませんが)であるバーバラの主観的な判断で書かれており、時折見えるバーバラの傲慢さもシバや他の人に転嫁することであくまでも「私はこんなに寂しいのに、あなたはわかってくれない。わかっているなんてそんな投げやりに言わないでほしいの」と傍観者でありながら自己擁護に徹する内情が垣間見えます。後半の取り消し線が加えられた文章は、あからさまではあるもののそのバーバラの自分勝手な心情をより印象付けるものになっています。

 

 また、実際の事件では性的な関係を持った少年との間に女児を儲け、児童レイプ罪で懲役7年5か月の求刑、その後少年が擁護する主張をしたことや世間が同情したことから、少年に合わないことを条件に6か月の求刑を受けました。仮釈放後、同じ少年と再び性交渉を行っているところを警察に目撃され再逮捕されましたが、出所後、成年となった少年と最終的に結婚しました。つまり彼女は、二度児童レイプ罪で逮捕されるもその少年と結婚して幸せに暮らしています。形式的には児童レイプであったかもしれませんが、彼らにとっては禁じられた愛だったのかもしれません。

 一方で小説では、彼女が未成年と性交渉を行ったことが発覚してマスコミなどの糾弾からバーバラとシバが雲隠れするところで終わっています。もちろんこれもバーバラの手記によるところであり、彼女が職場の同僚にシバの不倫をたきつけ、シバに手記を見られて絶縁状態となったものの和解した、との記載そしてこの終わり方は彼女の理想だったのかもしれません。言及はされていませんが、バーバラはシバに対して職場の同僚以上の感情を持っていた、レズビアンだったのかもしれません。先述した斜線部以降の記載は、小説上の事実とすら異なっているのかもしれませんね。

 

 去年、何かと話題となった不倫問題ですが、あそこまで反響が大きかったのもマスコミがたきつけたせいかもしれません。今では当時と違ってSNSも火付け役に加わっていますが。

 

かもしれません、ばっかりでしたが、今回はこれで。

 

 

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アンデシュ・ルースルンド「熊と踊れ」(早川書房)を読みました。

さてさて今年も自分のペースで本を読み、更新していけるように頑張ります。

 

今回は、アンデシュ・ルースルンドとステファン・トゥンベリの共作「熊と踊れ」(早川書房)を読みました。

 

 

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

(以下Amazon 内容紹介より引用) 

【ハヤカワ・ミステリ文庫創刊40周年記念作品】凶暴な父によって崩壊した家庭で育ったレオ、フェリックス、ヴィンセントの三人兄弟。独立した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を入手する。その目的とは史上例のない銀行強盗計画を決行することだった――。連続する容赦無い襲撃。市警のブロンクス警部は、事件解決に執念を燃やすが……。はたして勝つのは兄弟か、警察か。スウェーデンを震撼させた実際の事件をモデルにした迫真の傑作。最高熱度の北欧ミステリ。

 

この作品は、ミステリと書かれているものの、どちらかというとサスペンスドラマのテイストが強い小説という感じでした。実際の事件をもとに書かれているので、一つ一つの描写が細かかったり、どうしてここまで兄弟の人間描写が描けるのか不思議だなぁ、なんて思ったり、刑務所で詳細な取材をしたのかなぁ、などと考えたりもし、単なる小説の枠を超えた小説でした。その辺やあとがきも含めると、広い意味のミステリなのかなぁ。

 

 

実はこの事件聞いたことありまして、というのも昔、世界仰天ニュースだかでやっていたような、そしてそれをリアルタイムで見ていたような気が……。

 

 

華麗なる銀行強盗の手口、兄弟のやり取り、親子の確執、犯罪の成功への自惚れ、警察の執念などが丁寧に書かれているので、1200ページ近くありかなり分厚いですが、どんどんめくりたくなるぐらいテンポよく読み進めることができるはずです。

 

 

そしてなによりタイトルがいいですよね。熊と踊れ。原作もBJÖRNDANSENなので、原作通りの翻訳ですね。作中で上級生に殴られたレオが父親からケンカの仕方を習います。

「お前は相手の鼻を殴った。そいつが前かがみになった。そうしたら、あとはそいつが立ち上がれなくなるまで、ひたすら殴りつづけろ。敵が何人だろうと、おまえは負けない。相手がひとりでも、ふたりでも、三人でも関係ない。これはな……熊のダンだ、レオ。いちばんでかい熊を狙って、そいつの鼻面を殴ってやれば、ほかの連中はみんな逃げ出す。ステップを踏んで、殴る。ステップを踏んで、殴る!そいつのまわりでステップを踏んで、パンチを命中させる。たいしたパンチに見えなくても、何度もやられれば相手は疲れてくる。混乱して、不安になってくる。そこにお前がまた次の一撃を食らわせる。ちゃんとステップを踏んで、ちゃんとパンチを命中させれば、お前は熊にだって勝てる!」

 

このケンカ手法が銀行強盗にも通じるということなのかなぁ、と。大したパンチに見えなくても何度も何度もやって混乱させる。そこで次の一撃を加える。油断はしない。リスクは適切にコントロールするんだ。しかし大胆に攻撃する。奪って奪って奪いまくれ。そうすれば警察だって出し抜くことはできるさ。抜かりはない。そんな感じでしょうかね。面白かったです。

 

 

北欧ミステリといえば、スティーグ・ラーソンの「ミレニアム」シリーズやレナ・コバプールの「スーツケースの中の少年」なんかもありますが、こちらも同様に北欧ミステリの傑作としていいのではないかと思っております。 

 

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

スーツケースの中の少年 (講談社文庫)

スーツケースの中の少年 (講談社文庫)

 

 

それでは。

 

 

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